わたしはこの人を推すことにした。

 

ここ最近、眠れない夜は、BGMとして野崎さんの過去のツイキャスを音声だけで聴いている。

 

5月2日の配信が特にお気に入りで、鬼のようにリピートしている。ボイスドラマの脚本を手掛けた話をする配信で、わたしが初めて見た野崎さんの配信だ。

どんな言葉を選ぶのか、どこでひと呼吸置くのか、どこで話すスピードが速くなるのか、そんなことを覚えるくらいには聴き込んでしまったので、そろそろ5月2日の配信だけでなく、バックナンバーを漁りに行こうかしらと思い立ち、少しずつ過去に遡ることにした。

 

レモンサワーを呑み比べてレビューする配信や(あんなに呑んで平気なの?と思ったが、昔のニコニコ動画などを遡ると自室に置いてある酒瓶達が目につくので強いのだろうか?)、鮭の中身が見えるぬいぐるみや、ホワイトタイガーと思しきパペットを登場させたり(彼らが何者なのかは分からないが、とにかく野崎さんが可愛すぎた。わたしは野崎さんについてまだ知らないことばかりだ。)、突然『時の旅人』を歌い出す配信や、某ワニの漫画の話から広がり創作の好みなどを話す配信など、どれも話し声が心地よく、どこかシュールで面白い配信で、遡っていて、とても楽しい。

 

つい先日見た、わたしにめ。を布教してきた姉曰く"株主総会"みたいな4月1日の配信は凄かった。冷静に世界を見つめることができて、今やれることを考えている人なんだな、と思った。

そこで挙げられた案はほとんど実現しており(トークコールとかライブ配信とか)、「この人タイムリープしてる?」とか、ほんっっっとうに意見が通りやすい会社なんだな、などと思った。

そして、この人は大人なんだな、と思った。いやまぁ野崎さんは当たり前に立派な大人なんだけど。

 

 

そんな冷静で大人な姿を見ていたから、3月1日の配信には驚いた。

今日も眠れないから新規開拓しよう、と3月1日の配信を再生した。なんのお話をするのかな、眠気は来るかな、と目を閉じて、話し始めるのを待った。

 

それは、ツアーの一部公演中止が発表された日の配信だった。

中止に至るまでの経緯とか、裏側とか、そんなことまで教えてくれるの?と思った。

発表があってすぐにそんなことまで冷静に話せてしまうなんて、やっぱり大人だな、と思った。

 

だから、泣くなんて思わなかった。

 

つい先日「野崎さんって泣くことあるの?」なんて質問を、布教してきた姉にしてしまうくらい、いつも笑っている印象しかなかった。

過去の動画などを遡っても、感動的な場面やしんみりした場面でも、いつもニコニコとしているように感じていた。

 

話し声にだんだん鼻をすする音が混じってきたから、びっくりして目を開けてスマホ画面を確認したら、泣いていた。眠れるかな、なんて思ってたことは忘れた。眠気なんて吹き飛んでしまった。

「悲しい」「辛い」「申し訳ない」と泣く姿を見て、泣かないで、当時は誰もが手探りで何も分からなくて、仕方のないことだったんだよ、なんて馬鹿なことを思った。わたしは3ヶ月後の未来から見ているのに。スマホの向こうで泣いてる人は、もう過去の出来事なのに。

3月1日のわたしは何をしていたかな、布教されてたけど聞き流してたな、ちゃんと野崎さんのこと認識してなかったな、知らなかったのに、今更「泣かないで」ってわたし図々しいな、なんて思った。

 

わたしが知っていたのは、こんな状況だけどトークコール会やラジオドラマや各々の配信などのやれることにどんどん挑戦している姿で、すこし前の、この状況に翻弄されているときの姿は知らなかった。大量の『中止のお知らせ』という文面で、あーこの人たちもやるはずだった様々が中止になってしまったんだな、と思うだけで、その決断の裏側にあったであろう様々な葛藤や悲しみについて考えることをやめていた。

中止を決めたとき、ほんとうに悔しかったんだろうな。

全ての公演に行けるわけではないファンがいることを知っていて、遠征の大変さ(大変なのが楽しいのはもちろんあると思うけど、わたしはそれでも飛行機に乗って遠出する行為は大変なことだと思う)を知っていて。なんというか、こんなにファンの目線に立ってくれるアイドルがいるなんて。こんなに優しい人がいるだなんて。

こんな状況でもいろんなことをやっている姿が逞しくて好きだな、って思っていたけど、そこに至る前に、泣いてたんだな。

なんでも包み隠さず話しているようで、明かすのはここまでという線引きをちゃんとしている人のように見えていたけど、そうじゃないときもあるんだな、って思った。いつもより正直に見えた。いつも、とか言っちゃうのも馬鹿らしいくらいなにも知らないくせにね。たぶんこれからもっと沢山の残された様々のバックナンバーを辿ったり、(今後通販が復活したら)色々とDVDなどを買ったりしたら、見え方が変わるんだろうな。とりあえず今感じたことを残しておきたい。

 

幸せにしたいと思ってくれてるんだな、と知ってしまうと、「良い1日でありますように」と呟かれた言葉に胸がいっぱいになってしまった。

初めてお話ししたときの、スマホ画面の半分下に写っていた、びっくりするほど綺麗だったキラキラとした笑顔と、わたしと話すためだけに用意された1分間が、なんて贅沢で尊いものだったのかと、幸せすぎておそろしくなった。あのときわたしは手足が氷みたいに冷たくなるほど緊張してたけど、あの夢みたいな1分間は幸せだったし、今でも思い返して噛み締めて幸せな気持ちになっている。

この人のことが好きだな、と改めて思う。推しのグループ卒業及び芸能界引退とか、この状況で自分の仕事がどんどん苦しい状況に置かれていくやるせなさとか、そういう負の感情から救ってくれたのは、人類には早すぎるシュールな投稿や、電波状況が悪すぎて面白くなっちゃうリモート配信や、少し鼻にかかったような甘い歌声や、顔が良いな……と思わずにはいられないルックスとか、優しさと余白を感じられるあの脚本とか、それに言及するときの恥じらいと情熱を感じる姿とか、そういういろんなものだった。この人が特別に好きだな、って認識する前から幸せにしてもらってたんだな、なんて、ここ数週間を振り返って思った。

わたしは何個ドをつけたら良いのかというほどのドドドド新規で何にも知らないにわかでお前黙れよって自分に思うけど、幸せにしたいって思ってもらえる側の人間に入るなんておこがましいにも程があるぞと思ってしまうけど、事実わたしは幸せにされてしまった。まだまだなにも知らないけれど、幸せにしたいって思ってもらえる側の人間になりたいと思ってしまった。誰かを推すといつか訪れる別れが苦しいから、もうたった1人に熱を上げるのはやめよう、って思っていたけど、もう手遅れだって今気づいた。だから無駄な抵抗はもうやめることにして、好きな人って濁すのはやめて、推しって言う。

 

わたしは野崎さんが好きで、わたしの推しは野崎さんです。

 

 

 

 

などと明け方の寝れないままのテンションで記録したらちゃんと眠くなって寝れた(昼夜逆転)